神楽坂上交差点で神楽坂通りと直交する大久保通り(都道 放射25号線)の拡幅事業が進められようとしています。この計画は戦災復興の一環として昭 和21年に東京都によって都市計画決定されたもので、その後今日に至るまで事業化されませんでしたが、近年になって周辺地域で事業化が進められ、坂上交差 点付近でも道路用地の買収が始まっています。今回の計画区間は筑土八幡町から抜弁天までで、都市計画道路としては現行幅員18メートルを30メートルに拡 幅することになっています。また都の事業計画として、現在片側1車線のところを2車線とし、自転車レーンを設け、歩道幅員は6メートルとなっています。
円滑な道路交通の確保や防災性向上は必要ですが、ヒューマンスケールを保ち、神楽坂を物理的にもまた文化的にも分断しないことが重要ではないでしょ うか。公開されている交通データによれば大久保通りの交通量は近年減少しており、また都心部主要道路の交通量も全体としては横ばいまたは微減傾向にありま す。道路拡幅自体は、すでに用地買収が進んでいる現状ではやむを得ないことでしょうが、拡幅によって生まれる場を、従来のような自動車交通のためではなく 住民や商業者、来訪者のために、地域文化の発展継承のために活用することが望まれます。それこそが、成熟した東京、神楽坂にとって、オリンピックに向けて 世界からのお客様をお迎えするにもふさわしいのではないでしょうか。